小さい頃はあれやこれやと、叱る事も多かったが、ここまで大きくなると子供達を叱る事は、あんまりないかもしれない。
それでも、挨拶がイマイチだったり、時間を守れなかったり、当たり前の事がおざなりになってくると、喝を入れるべく、見逃さず叱るようにしている。
小さい時は、ご飯を残したり、挨拶だったり、言葉使いだったり、細々と叱らなくてはならず、叱る度に、体力・気力を消耗し、メンタルが疲弊した。
長女が幼稚園の頃、お友達を叩いた事を先生から伝えられた。
その相手は、いつも一緒に遊んでいる子だった。
ショックだった。私が見ている長女の行動とはとても思えなかった。
私も大きな勘違いをしていた。
私が手を出さない育児をしていれば、この子も手を出すという発想もないだろうと、勝手に思い込んでいた。
家に帰り、長女に尋ねた。
どうして、叩いたの?
違う子と遊びたかったのに、しつこかったから、すごく我慢したけど、我慢してたら知らない間に、お友達の手を叩いちゃった…
長女は静かに泣いていた。
私も涙が出た。
人を叩くってことはね、叩いた所だけが痛くなるだけじゃないんだよ。それと一緒に、心も痛くなるの。お友達も叩いた手の痛みはすぐ直るけど、叩かれたっていう心の痛みは簡単に治らないんだよ。だから、何があっても人を傷つけたら、ダメなんだよ。って。
長女は黙って聞いていたが、自分も悪いが友達も悪いとポツリと言った。
引かなかった。
私は、初めて我が子に手を上げた。
お尻を2回叩いた。
泣きながら。
痛いでしょ。叩かれたら痛いでしょ。それに、叩かれた事も悲しいでしょ。
遊びたくないと思っていたのなら、ちゃんと友達に自分の気持ちを伝えるの。
叩かれたら、今、どんな気持ち?お母さんに教えて?
嫌な気持ち。もうこんなことして欲しくない。
そうだよね。嫌な気持ちになるよね。お友達もそうなんだよ。
だから、明日、幼稚園でもう1回、叩いて嫌な思いをさせた事を謝るんだよと伝えた。
次の日、お友達に謝った時、お友達の方からもごめんね。と言ってくれたようで、何もなかったように仲良く遊んで帰ってきたので、ただただ安心した日だった。
わかってくれたのかどうなのか、それ以降、そういう事はしなかった。
正解がわからないから、自分のやり方で、どのようにも出来る面もあるが、考え始めたら答えが出ないほどに選択肢がある。
どちらにせよ、当たり前の事が出来なくて、世に出て、困るのはこの子。
手を出した事に後悔はない。
言葉でどれだけ説明しようが、当の本人には真から伝わらない。
頭では叩くのはよくないと分かっていても、実際に何でダメなのか、じゃ、叩かれたらどんな気持ちになるのか。叩かれた経験がある子にしかわからない。
人の痛みがわかる子であって欲しい。
そこには、愛しかない。泣いても、許さなかった。いけない事は、いけない。内心は、こちらも一緒に泣きたい位だけど、信念を通す。親が真剣かどうかは、子供達もちゃんとわかっている。
だからこそ、信念を曲げてはならない。
ブレずに、真っ直ぐ。
当たり前の事を当たり前に。
いつか、この子達にも子供が出来た時に、同じように子供を思い、同じように諭して欲しいと思う。
自分を曲げずに、信念を持って…