まだ子供達が小さかった頃、せっせと歯磨きをしたり、歯医者にフッ素を塗ってもらいに行ったり、まあ、虫歯にならないように神経をすり減らした。
嫌がる子供を押さえつけ、仕上げ磨きをする。
そう、虫歯にならないように…
それを見かねて、主人が私に言った。
それって、誰の為?
子供の為とかいうけど、虫歯になって歯医者に連れてくのが面倒なだけじゃないの?
虫歯になったら、どうなるのかわからないで、本当にこの子達のためになるの?
いま、やるべき事は、それなの?
はっ…とした。
誰の為?
そう、漠然と虫歯になったら、歯医者に連れて行かなきゃならないし、子供も痛い思いをするかもしれないし、その工程はただただ、面倒なだけじゃないか。
だとしたら、その前に、虫歯にならないように予防しなくちゃ。の一心だった。
虫歯がないのが一番だが、その理由もよくわからず、子供は果たしていいのだろうか。
気持ちはすぐ固まった。いい事も悪い事も、一度は体験して欲しい。親が守る事は必要だが、先回りしてやってあげるのは、私の子供達への愛情ではない。
すぐに方向転換。
歯医者に連れて行くのは辞め、永久歯について伝えられる事は伝え、歯磨きは子供達に任せ、仕上げ磨きもすることはなくなった。
私自身も楽になったし、子供達も嫌々歯磨きをする事もなくなり、自分達で率先して歯磨きしてくれた。
結果から話せば、子供達、それぞれ2回くらい虫歯で歯医者に通院する事になった。
一度目の虫歯で、歯磨きを丁寧にするようになった。
それでも2度目の虫歯、鏡を使用したり、子供達なりに工夫しているようだった。
功を奏してそれ以降、虫歯がない状態が続いている。
先回りしていい事、ダメな事。
必要なのはこの瞬間じゃない。
もっと先の事。
大事な存在だから、何としても守りたい。
常識にとらわれるな。