長女は生まれ、喜びに満ちた日々が始まるだろうと思い描いていた。
里帰り出産だったから、出産後3か月程は、いつも誰かがいて、不安とは無縁の日々だった。
それがずっと続くだろうと思って、里帰り出産を終え、自宅に戻る。
それは、今までとは違う毎日が待っていた。
誰もいない。
主人は夜遅くにしか帰らない。
しかも、毎週のように出張があり、週の半分 家にいないのだ。
何をどうしていいものか、不安でたまらなかった。
主人が出張となれば、不安で夜も寝れなかった。
主人のいないとなると、私が寝ている間に、この子に何かあったらと、持たなくてもいい責任感で寝る事が出来なかった。眠れるのは、日中、子供と一緒に昼寝をする時。
毎日が必死になりすぎて、長女を可愛いと思える瞬間は、次女に比べると本当に少なかった。可愛いと思えない事に、悩んだ。罪悪感があり、誰かに言う事が出来なかった。母として、失格な気がしたから。
愛しい存在には変わりない。それを穏やかに、冷静に見守る余裕がなかった。
そうだよね。
おぎゃーって生まれて、母としても初心者マーク。
子供と一緒に、母を初心から学ぶのだから。
初めての事には、必ず不安が伴う。
ましてや、この子を命を預かる訳だから。
きっと、子供を見守る目はひとつでも多い方が子供にとっても、親にとってもいいに決まってる。
それでも、次女が生まれて一変する。
長女にはあれだけ悩まされたのに、次女がいる事で、出来る事をするしかなくなった。
そう。優先順位を決め、出来る事からしなければ、何も片付かない。
それが良かった。全部しなくていいんだ…と思えた事。
完璧にするなんて無理だよ。って思えたことで、すべてがひっくり返った。
長女も次女も、なんて可愛い事。
こんなに可愛かったんだ。
なのに、私は…
少しの余裕で見える世界も違ってくる。
今からだって遅くない。
今、見える景色は今だけ。
後悔なんてもうしない。