子供達の青春の全てを捧げた武道の恩師が亡くなった。
体調が良くないとは聞いていたが、武道の道を辞めてしまった今、学業でいい報告が出来ればと、子供達とそれを励みにしていた。
近々、練習に行ってみよっか…と話していた矢先の事。
色々な事が悔やまれる。
子供達が辞めてすぐ、先生の病気が発覚。
あの先生なら、驚異的なパワーで復活してくれるとみんなが思っていた。
何十年と子供達に指導し、その宝と言える子供達は成長し、沢山の子供達で最後を見送ることが出来た。
我が子でもないのに、これだけの子供達を公私にわたって指導し、こんな小さな子までが悲しみに打ちひしがられる。
とてつもない大きな存在を失った喪失感。
辞めた今でも、その存在は大きく、子供達の何かあると立ち返る心の拠り所となって、子供達を支え続けている。
何より、年齢関係なく、現役の子もそうじゃない子も、子供達はずっと繋がっていて、それは恩師の教えそのもの。
指導者が増え、道場の求める指導が変わりつつある中で、変わらないものを子供達に植え付けてくれたのは、先生しかいない。
大人になるにつれて、大変な事はたくさんある。何が起ころうと、ここで学んだ事、仲間が、生きるために、少しでも心の支えになってくれれば…と、その思いで、子供達を見てきたって。
その強い思いが、病に気付くのを妨げたのではないか。
気付いていても、病に苦しんでいる場合ではないと、後回しにしてきたのかもしれない。
何十年と、何があっても道場を休んだことがない先生だっただけに、そうかもしれない。
80歳を過ぎても鍛え抜かれた体は、半分にまでになり、それは最後のその瞬間まで、生ききった先生の見事な姿だった。
ありがとうございました。
それしか言えなかった。
それしかなかった。
その生き様は、子供達の胸に忘れないほどに刻まれたはず。
生きるって…
こういうことだよね。
魂の思いは、きっとなくならない。
先生の足元にも及ばないけど、私も生き切る人生にしたい。
子供達に出来る事って、そういう事だよね。