あれから、あっという間に時が過ぎた。
共通テストが終わった日は、割と元気な顔で返ってきた。
やり切ったのか、ホッとしたのか、本番は「ダメならダメでいいや」って切り替えたら、全然緊張しなかったと話していて、結果がどう転ぶか、ドキドキな私だったけれど、もう、この先は水の流れのように、流れる方向に進むしかないと心に決めて、とにかく無事に、笑顔で返ってきた長女に安堵した。
私から色々聞くことはせず、いつも通り、他愛もない話をし、束の間の親子の会話を楽しんだ。テストの結果について、自信があったもの、なかったもの、話してくれて、宿泊中の面白話にも花が咲いた。
怖い~怖い~と言いながら重い腰を上げ、自己採点。
見事に8割を超え、足切りには引っかからなそう。
自己採点に間違いがなければだが、一筋の光が見えだした。
次に向かえる。
そう思って、安堵し、新たに決意し始めた時、長女が言った。
「このまま第一志望でという気持ちが捨てきれないけど、もし、ダメだった時に後期まで頑張れないと思う。だから、別の旧帝大を狙いたい。前期で、合格を少しでも余裕を持って決めたい。共テを受ける前から、気持ちが変わってきた。迷ってる気持ちで東大を受けても、絶対合格できない気がする」
急に言われた私は、顔には出さないように堪えたが、かなり驚いた。
この為に、やってきた。この先を目指す為に。どこにも脇目も振らずに、邁進してきた長女を見てきた。それが、共テのこの結果で志望先を変える?
混乱したが、何の為の、誰の為の受験なのか?に立ち返ったらすぐ答えが出た。
「自分で考えた結果なら、どこを目指そうが、お母さんは応援する。学ぶ場所が問題じゃなくて、そこで何をするかが大事だと思うから」
「うん」
ホッとした顏だった。
ここにたどり着くまでに、散々考えた結果なんだと思った。
それくらい、そこに向かって、この一年間、時間全てを賭けてきた。
判定が悪くても悪くても、決してへこたれなかった。
その姿に、親として何があっても、応援してあげようと思った。
道は一つじゃない。
どんな道も、自分で自信をもって突き進んで欲しい。
近道かもしれないし、遠回りかもしれないし、どの道も正解はない。
どの道を選んだって、目指すものがあれば、たどり着く場所は一つ。
二次試験の出願も無事終わり、それに向けて、引き続き、長女は頑張り続けている。
志望先が変わっって、新たにやる事が増えた私だが、変わらず、前向きに頑張る長女の姿を応援できる幸せを噛み締めながら、過ごす事が出来ている。残り一か月を切った。
笑って春を迎えたい。ただただ、それだけ。
子供達が笑っていてくれたら、それだけでいい。